子どもは1日3食の食事のほか、おやつからも栄養を摂取して成長しています。だからこそ、親としてはおやつの栄養面にも気を配っていきたい。でも、毎日手作りする時間はない…。
そんなママさんに朗報です。管理栄養士の豊永彩子さんによると、「市販のものでも、しっかりと栄養を摂取することは可能」のだそう。
理想的なおやつの選び方や、スーパーで買えるおすすめのおやつを教えていただきました。
おやつはなぜ必要?どのくらい食べる?
おやつについて知る上で、最初に知っておきたいのが、「なぜ、子どもにとって、おやつが大切なのか」ということ。「おやつ」というと、「お菓子を食べる時間」というイメージがありますが、子どもにとってのおやつは位置づけが違うのだそう。
「子どもにとってのおやつは、栄養を補うための少量の食事、つまり『補食(ほしょく)』なんです。子どもは、1回の食事で食べられる量が少ないため、発育発達において1日に必要なカロリーや栄養を3食だけではとりきれません。そのため、おやつは、栄養補給のチャンスタイムとなるんです」(豊永さん)
ということは、おやつを食べないと、栄養不足になる可能性も。おやつの目安は200kcal程度と言われますが、実際の適量は個人差が大きいのだそう。
「1日に必要なカロリーや栄養の量は、厚生労働省が公表している『日本人の食事摂取基準2015年版』の1日の推定エネルギー必要量によると、年齢や性別、運動量などによって異なります。さらに、朝は食欲がない、学校給食を食べきれずに残すといった個人差もあるので、わが子にはおやつでどのくらい必要なのかという目安量や、その日食べられた食事量に合わせて調整していくことが理想的です」(豊永さん)
おやつの選び方 3つのポイント
ではおやつはどう選ぶとよいのでしょうか。
「先ほどお話しした目安量はカロリー=数値を基準として、さらに栄養価の高いおやつを覚えておくとわかりやすいかと思います。
※ 例えばりんごは半分で約70kcal、みかん1個が約30kcal、小さめのおにぎりは80kcalなど
一方、栄養価が低めで日常的なチョイスは控えたい ”菓子類”は 板チョコ(50g)/ 約280kcal、ポテトチップ/1袋(60g)で300kcal以上もとれます。甘いお菓子やスナック菓子は、カロリーはとれても、栄養が不十分なのでイベントごとやたまにの楽しみとしてしての位置付けとするのが良いでしょう。おやつを選ぶ際は、次の3つのポイントを基準にしましょう」(豊永さん)
【ポイント1】その日に食べていない食材を選ぶ
おやつも含めて1日の栄養バランスを整えたいのですが、厳密に考えるのは大変。そこで、その日に食べていない食材を選ぶようにしましょう。例えば、「食事でパンや麺類など小麦製品が多かったときは、おやつはおにぎり「今日はおかずをあまり食べられていないから、ヨーグルトやチーズ、小魚スナック」「野菜が少なかったから、フルーツ」などと考えると、自然に栄養バランスが整いやすくなります。
【ポイント2】糖分・油分・塩分が多いものは避ける
スナック菓子は油分や塩分が多め。野菜チップスは「身体によさそう」というイメージがありますが、油で揚げたタイプのものは高脂質なので食べすぎに注意しましょう。おせんべいも揚げたものより焼いたものがベター。魚肉ソーセージや昆布などは、栄養はありますが塩分量も多いので、食べ過ぎに気をつけてください。
甘いものは本能的にクセになりやすく、特に菓子類や飲料などの人工甘味料などは一度クセになるとやめづらくなるため、取りすぎない工夫が大事。例えば、缶詰の果物はシロップきり、水洗いを。バニラアイスは無糖ヨーグルトと混ぜると、さっぱりした甘さになるうえに、栄養価も高くなります。アメやキャラメル、ラムネ、グミなども砂糖が多いので注意が必要です。
【ポイント3】市販品はパッケージの裏を確認する
市販品を購入するときは、商品パッケージにある「原材料」や「栄養成分表示」を確認しましょう。原材料は含有量の多いものから記載するルールになっているので、「砂糖、小麦粉、…」の順で書いてあれば、小麦粉よりも砂糖が多く入っていることがわかります。
原材料や栄養成分表示は、単品で見てもよくわからないので、売り場にある類似商品と見比べてみましょう。「カロリーは同じくらいだけど、商品Aは脂肪が多くて、商品Bはタンパク質が多いのね」など、気づけるはずです。
管理栄養士のおすすめ市販品おやつ
スーパーで手軽に入手できる市販品のなかで、豊永さんがおすすめするおやつは、以下の9つ。
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果物
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ドライフルーツ(砂糖や植物油脂が添加されていないものがベスト)
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枝豆
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干し芋(※)
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ナッツ類・豆菓子
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小魚アーモンド
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ヨーグルト
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ベビーチーズ
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プリン(材料が卵・牛乳・砂糖のシンプルなもの)
※1:干し芋は便秘改善にも役立ちますが、重度の便秘の場合はかえって悪化することもあります。たっぷりの水分と一緒に食べましょう。
「加工品よりも、できるだけ自然の食材を生かしたおやつを心がけましょう。果物や野菜類、ナッツ・豆類は食べやすくビタミンが豊富です。タンパク質やカルシウムが豊富な乳製品、小魚、プリンなどもおすすめです」
一方、ラムネ、グミ、シャーベットなどは、避けたほうがよいとのこと。
「これらは、主な原料が砂糖と香料で、栄養が乏しく、カロリーだけとってしまう「エンプティカロリー」のお菓子なんです。また、幼児向けのスナック菓子にも注意してほしいですね。パッケージに人気キャラクターが描かれていたり、少量パックになっていたりすると、『子ども向けだから安心』と思ってしまいがち。確かに大人向けの商品よりは薄味だったり食べやすい形状になっていたりはしますが、油断は禁物幼児向け商品でも、パッケージの裏をしっかりチェックしてから、選びましょう」(豊永さん)
今回は市販品を中心に紹介しましたが、休日に時間があるときは食育も兼ねて、ぜひ親子でおやつを作ってみましょう。手作りなら、砂糖控えめのレシピを参考にしたり、砂糖の半量をオリゴ糖に変えたりすることで、子どもによいおやつを作ることができます。バナナと牛乳をミキサーにかけてバナナミルクを作るだけでも、立派な手作り。無理なくおやつタイムを楽しんでくださいね。
フリーランス /管理栄養士・米国NIT認定栄養コンサルタント。女性が自分と大切な人を守れるスキルを学ぶためのオンラインサロンを立ち上げ、「You can be more HAPPY 」をコンセプトに健康・美容・身体のメカニズム・セルフケアスキルに必要な情報を発信している。その他、各メディアで連載やコラム執筆なども多数手がけ、健やかな美と健康の情報を発信している。
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