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子どもの将来は味覚で決まる!?子どもの味覚を育てるコツ

「食べ物の味を知る感覚」である「味覚」が、実は子どもの成長と深い関わりを持っていることを知っていましたか? なんでも味覚は、子どもの頃に形成され、将来の嗜好や体型にも影響を及ぼすものなのだそう。

管理栄養士の豊永彩子さんは「子どもの頃に、どんな味のものを食べたかで、その後の味の食の好み=嗜好に影響しています」とも言っています。そこで今回は、子どもの味覚の発達について、必要な栄養や注意したい味付けなど、子育て中に知っておきたいポイントをご紹介します。

味覚の定義

味覚とは、前述した通り、「食べ物の味を認識する感覚」です。味の基本味は「五味(ごみ)」と呼ばれ、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つ。 人間は舌や上あご、喉などの口腔内にある味蕾(みらい)という感覚器官の細胞と香りで、この五味を認識しています。

ちなみに、辛味や渋みも味を構成する要素ではありますが、これらは味蕾ではなく、痛みを感じる「痛覚」などで感じているため、味覚には含まれません。

「味覚は人の生命維持に必要なものでもあります。私たちは、必要な栄養を摂取するために、基本の五味とそのおいしさへの感覚を情報源としています。甘味や旨味・塩味は本能的に欲する=美味しさを感じやすい味です」(豊永さん)

酸味や苦味は腐敗や毒物のサインと認識されるため、最初は本能的に受け入れられないもの。子供の頃は特にこの味を受け入れるまでに時間がかかるのはこのためですが、いろいろなものを食べる経験を積むことで徐々に安全な苦味や酸味を知り、味の許容範囲が広がっていくのだそう。

子どもの味覚ってどう発達するの?

人間の味覚は、お母さんのお腹にいるときから発達していくものだと言います。妊娠後期に、お腹の中の赤ちゃんが飲んでいる羊水には、旨味成分であるグルタミン酸が含まれているという研究もあります。

「生まれた赤ちゃんはすでに母乳やミルクの味を感じることができます。『ミルクのメーカーを変えたら飲まなくなった』ということが起こるのは味覚によるものと考えられます」(豊永さん)

生後5〜6か月からスタートする離乳食で、味覚、舌触り、手づかみでの触感、温度、香りなどあらゆる感覚を使った食の学習が始まり、歯が生えると噛む経験を通しても味覚の発達が促されていきます。

そして、年齢や発達に沿ってたくさんの食材や料理に出会い、好き嫌いも経験しながら、味を認識する味覚の神経回路をどんどん発達させていくのです。




味覚の発達をどうサポートする?

理想的な朝食

子どもの味覚の発達を促すためには、幼少期の味覚は大人の1.3倍とも言われるため、味付けは薄めで大丈夫!「素材そのもの」や「だし』の味に慣れ親しみ、それらを「おいしい」と感じられるようにすることが大切です。そのために積極的に摂りたいのは、グルタミン酸、亜鉛、タンパク質といった栄養素だと豊永さんは言います。

グルタミン酸

旨味成分の「グルタミン酸」が不足すると、味覚の神経回路が発達しません。グルタミン酸を摂取しやすいのは「だし」で、市販の顆粒だしでなく、かつお節や昆布から取ったものだと◎。時間がない人は、市販のだしパックを使ったり、昆布を一晩水に入れるだけ(水出し昆布だし)、など簡単な方法でもOKです。サラダやおひたしにかつお節をトッピングしてもグルタミン酸を摂取できます。

亜鉛、タンパク質

貝類、牛の肩ロース、魚などに多く含まれる「亜鉛」は、味蕾の発達に必要な栄養素。味蕾細胞は1週間〜10日程度で生まれ変わるので、細胞を作る「タンパク質」もコンスタントに必要になります。月齢に合わせて、こららの食材を使ったスープなどを活用すると「味覚の経験」になり、健康的な食事を好む嗜好が育まれていきます。

一方、糖分や脂肪などの単純な味や濃い味は、極力控えてほしい、と豊永さん。

「単純な味や濃い味というのは、本能的に『報酬効果』があり、『もっと甘いもの、もっと濃いもの』と欲求がエスカレートしてしまいます。糖分や脂肪を日常的に過剰摂取するようになると、肥満や生活習慣病になってしまうリスクが高まります」(豊永さん)

子どもだけでなく家族全員の健康のためにも、家庭の味はシンプルな味付けにしたいもの。例えば、納豆の付属のタレは半量しか使わない、サラダのドレッシングを減らしてゴマやのりなどで旨味を補うなど、工夫してみましょう。突然すべてを変える必要はありません。市販のお惣菜は味が濃いことが多いので、トマト、水菜、豆腐などを加えてみるのもよいかもしれません。味が薄まると同時に栄養が増し、一石二鳥です。

「薄味や旨味を活用したシンプルな味付けは続けることが大切です。味蕾細胞は5〜10日という短い期間で生まれ変わるので、濃い味に慣れてしまった人でもまずはシンプルな味付けや薄味の食生活を続ければ、素材そのものの味やだしの旨味をおいしいと感じられるようになります。味覚が整えば、自然にお菓子やジャンクフードなどには興味がなくなって、食欲コントロールにもつながりますよ」(豊永さん)




年代別:味覚を育てる食事のポイント

舌を出している子ども

最後に、「薄味にすること」に加えて実践したい、年代順の味覚を育てるポイントを見ていきましょう。

【乳児期】離乳食で旨味に親しむ

離乳食の初期からだし汁や食材の旨味を味わう機会を作りましょう。

例えば、しらすは旨味もタンパク質も多い食材。お湯でゆがいて塩分を減らしてから、おかゆに加えると味覚の発達を促すことにつながります。

また、きのこ類も旨味成分が豊富なので、離乳食後期からはきのこを入れて煮ただし汁でスープを作るなどして食べさせてみてください。

【幼児期】好き嫌いを減らす

好き嫌いが出る時期ですが、調理やコミュニケーションを工夫し、できるだけ食べられるものを増やすことで味覚の発達を促しましょう。言葉が発達してきたら、食べたくない理由を聞いてみて。例えば生の大根が苦手なら煮物などにして、「食べられた!」と自信をもたせましょう。幼児期は噛んで味わうことが大事なので、スムージーやジュースにするよりも料理で栄養を摂取できるとベターです。

ただし、この時期はまだ本能的に苦味や酸味をイヤがることも多いので、ピーマンなどは無理強いする必要はありません。別の野菜で栄養を摂れていればOKとしましょう。

「幼児期からは、積極的に食に関する会話をしてください。『白菜がやわらかく煮えてておいしいね』『このみかん、ちょっとすっぱいね』『アイスは溶けちゃうとすごく甘いね』などと感想を話すだけでも、味への意識が高まり、味覚も豊かになっていきます」(豊永さん)

【学童期】食の世界を広げる

引き続き、食に関する会話を積極的にして、食の世界を広げたい時期。「パンの焼ける香りがするね」「コーンスープは体があったまるね」など香りや温度にも着目してみましょう。

料理のお手伝いもいろいろできるようになるので、ぜひ一緒にキッチンに立ってみて。「煮物だから大きめに切ろう」「やわらかく煮たいから弱火にしてね」など、会話の中で食の知見を増やすことができます。自分で作ったものは格別なので、きっとたくさん食べてくれるでしょう。

「外食は、家で出さない料理や今まで食べたことがないものに出合う機会。さまざまな味を体感することで、味覚の発達が促進されます。そば屋さんでそばを打っている様子を見たり、どのように食事が作られるのかを感じられる機会も貴重な時間です」(豊永さん)

豊永彩子(とよなが・あやこ)
フリーランス /管理栄養士・米国NIT認定栄養コンサルタント。過去に自身がストイックなダイエットで体調を崩した経験をもとに、食・栄養・身体のメカニズムに着目したオリジナルメソッド「スモールステップ食習慣」を考案。個別カウンセリング、セミナーなどを通して1,000名以上をサポート。各メディアで連載やコラム執筆なども多数手がけ、健やかな美と健康の情報を発信している。

https://sungrant.jp/
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